遺伝子工学の 日本における受けとめ方と その国際比較

Attitudes to Genetic Engineering: Japanese and International Comparisons (English)

ダリル メイサー, ユウバイオス倫理研究会 1992
Eubios Ethics Institute (http://eubios.info/index.html)


Copyright 1992, Darryl R. J. Macer. All commercial rights reserved. This publication may be reproduced for limited educational or academic use, however please enquire with the author.

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目次


はじめに

1. 生命倫理と生命工学 1
1.1. 日本の遺伝子工学とバイオテクノロジー 1
1.2. 生命倫理 2

1.3. 意思決定 7

2.サンプルと調査方式 9
2.1. サンプル抽出方法 9
2.2. アンケートの様式 10
2.3. 回収結果 11
2.4. 回答者の性格 15

3.科学と技術に関する認識 17
3.1. 科学と技術に対する関心 17
3.2. 個々の科学的発展に対する認識 20
3.3. 科学と技術のもたらす利益の認識 25
3.4. 科学と技術に対する懸念 29
3.5. 科学と技術がもたらす利益と害悪 32

4. 遺伝子操作 37
4.1. 遺伝子操作に関する知識 37
4.2. 遺伝子操作の許容度 38
4.3. 遺伝子操作の利益に関する認識 49
4.4. 遺伝子操作の危険性の認識 60
4.5. 日本における遺伝子工学施設への態度 73
4.6. 遺伝子工学の環境への応用 76

5. 経済的問題点 81
5.1. バイオビジネス 81

5.2. 生物と特許 86
5.3. 特許に対する一般市民の態度 88
5.4. 特許法の再検討 90

6. 遺伝子操作生物からの生産物の消費 93
6.1. 遺伝子操作生物と食品 93
6.2. 遺伝子操作生物からの生産物への不安 95
食品に関する特別な規制が必要か? 107

7. 遺伝子スクリーニングと遺伝子治療 109
7.1. 医の倫理と遺伝学 109

7.2. 遺伝子スクリーニング 112 7.3. 遺伝子治療 120

8. 一般市民、科学者と教育 124
8.1. 一般市民と科学者 124
8.2. 発言の信憑性 126
8.3. 科学的活動の規制 130
8.4. バイオテクノロジーの規制 133

8.5. 一般の理解と教育 140
結論と提言 9. 148
9.1. 諸注意 148
9.2. 結論 148
9.3. 提言 150

10. アンケート 153

11. 参考文献 158


はじめに

 本書は、現在進められている生命倫理の論議の一助となることを目的としています。生命倫理は、人間が生命の問題にかかわって行く過程で生まれる倫理的問題に関する研究として捉えるべきものです。遺伝技術はすべての生物に適用できますが、ここでは、農業、工業、医学的応用を取り上げていきます。世間では、極端な優生学という遺伝学の過去の応用例と、植物育成への遺伝子工学の応用を別個のものとして考えているようです。しかし、生態系と環境の保護は必要不可欠なもので、持続可能な技術を導入しなければなりません。

 本書は、上記の問題に関心を持つすべての人にあてたものです。日本の人びと、特に政策決定に携わる人や科学者へのメッセージとして、一般市民参加へ門戸を開いてほしいという願いをこめて、一般市民からの次のコメントを引用したいと思います。

「ご苦労さまです。熱心な研究に少しでもお役に立てて嬉しいと思います。社会には、子供もいれば女性もいる、お年寄りもいることを忘れずにいてください。科学ばかり先にいっても . . . . . この世界の現状を見てください。」

 このレポートは、遺伝子工学とバイオテクノロジーに関する認識の研究およびそこから提起される主要な問題の分析として、国際的にも有益なものと思います。最近の参考文献も含んでいますが、詳しい文献については、前著 Shaping Genes" と隔月刊ニュースレター"Eubios Ethics Institute Newsletter" "Eubios Journal of Asian and International Bioethics"をご参照ください。後者は、本書で取り上げる分野の進歩に関する最新の参考文献を提供しています。

 この研究を支えてくださった方々、特にアンケートにご回答いただいた1700人にのぼる人たち、さらにさまざまな興味深いコメントを書いてくださった方々に感謝致します。いくつかのコメントは本書でも取り上げましたし、その他のものも引き続き調べていきたいと思います。本調査の主な費用を文部省の予算を割いて援助してくださった筑波大学に、この場を借りてお礼を申し上げます。

 このプロジェクトを手伝ってくださった数多くの方々を、すべてここにあげることはできませんが、アンケートの全質問とコメントの翻訳については原田宏、小熊譲、関文威、白井泰子、竹森直の各先生にご指導いただきました。アンケートの準備と発送については別府彩子、竹中陽子、岡山泰史、岡田あゆみの皆さんと小熊譲先生に、さらにアンケートの配布については加藤礼子、菊地由里、岡村智代子、佐々木揚、杉山和子、戸田恭子、利根川あかね、鳥居啓子、座間嬰子の皆さんにご協力いただきました。また何人かの方には一般市民にインタビューを行っていただきました。そして統計プログラムでは、石川真一さんのご指導を、コンピューターの使用では平林民雄先生のご協力をいただきました。

 アンケートに書かれたコメントはほとんど日本語だったため、本調査に時間を割いてくださった浅野由香子、別府彩子、羽廣潔、小林房子の皆さんに翻訳もお願いしました。また今井りつ子、加来留美子、増原学、岡田あゆみ、岡山泰史、榊洋子、利根川あかねの皆さんにもお手伝いいただきました。日本語テキストの準備では浅野由香子、岡田あゆみ、別府彩子、小松道子の皆さんにご援助いただきました。

 本書は多くの人びとに読んでいただけるよう日英二か国語で書かれています。発行日を早めたため翻訳作業は執筆と同時進行で行われ、また原稿の段階で再三にわたる変更、改訂などもあり、作業には忍耐を要したことと思います。日本語訳を担当してくださった稲垣かずみさんに深く感謝いたします。ものを書くうえで一番のテストは翻訳してもらうことかも知れません。曖昧な点がはっきりするからです。

 また原田宏、竹森直の両先生には日本語訳でもお手伝いいただき、数々の示唆を与えていただいたおかげで原稿を再考することができました。テキストのみならずプロジェクト全体を通して原田宏、小熊譲の両先生からは貴重なご教示を賜りました。

 以上の方々の惜しみない援助に厚くお礼を申し上げます。

 この他、貴重な情報を皆様から提供していただきました。そのご協力で本調査を成し遂げることができました。また本書の出版に際し、印刷から製本までのすべてに労をとってくださった安原勇さんに深くお礼を申し上げます。いつも励ましてくれる両親、そしてこのプロジェクトの初めから終わりまですべての段階で私を支えてくれた妻信子の辛抱づよい協力に感謝します。

 本書の不備な点に関してはすべて著者の責任であり、ご助言を賜れば幸いです。本書で取り上げた問題はどれも引き続き進展、討論を要すると考えており、本調査への批評やご意見を喜んでお受けいたします。本書中の統計は内容から切り離して使われることのないよう、読者の皆様の良識ある判断を望む次第です。生命倫理に対する人々の考え方を調べ、国際的に通用する生命倫理へのアプローチの進展、またバイオテクノロジー、遺伝子工学の安全で効果的、かつ倫理的な導入のためのガイドラインの発展のために、本書で使ったアプローチを世界中の人びとに活用していただければ幸いです。

 1992年4月       
               筑波大学 生物科学系
                            ダリル メイサー


Further copies can be obtained by ordering from the Eubios Ethics Institute,

Please send comments to Email < darryl@eubios.info >.

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