表示規定に関する声明文


生活とバイオを考える会クローニングに関する声明文

私達は生活とバイオテクノロジーについて論議するために集まった一般市民のグループです。参加者は,雇用主を代表したり専門家として発言するのではなく,個人として意見を述べ,論議を進めています。みな広い範囲の職種と経験を持っていますが、一つのグループとして環境、倫理そして社会学的な観点から勉強し、討論を行っています。討論は、上記の観点がバイオテクノロジーにどのように関わってくるか、一人ひとりの科学的知識と実地体験をもとに進められています。遺伝子組換え食品についての勉強中、私達がお互いから学んだ事を、ここに共有できたらと思います。

1.まず強調したいのが、日常口にする食品に新しいものが加わる時の情報の透明性と公開性が重要であるということです。情報を公開する責任は、政府や規制機関が真っ先に負うべきだと思いますが、新しい品種を作り出す科学者、種子会社と供給者、農家、運搬業者と代理人、食品加工業者と小売業者のすべてにも、その責任があると思います。

2. 遺伝子組換え生物や遺伝子組換え食品が引き起こす人体や環境への影響に関する研究は、1980年代から広範囲にわたって行われてきました。現在までに、遺伝子組換え食品が直接人体に害を及ぼしたという、確固とした科学的根拠に基づいた例は挙げられていません。現代段階では安全性は確認されていますが、さらなる研究の継続が必要です。商業的規模で栽培利用されているものに対して継続して研究すべき問題もあるでしょう。

3. 様々な問題が取り上げられていますが、相反する情報が飛び交っています。これは、情報を提供した人と、その情報を選択したメディアの両方に責任があると言えるでしょう。メディアは、研究者と一般市民との橋渡し的存在であるべきです。ですから、情報が正確であることや、消費者がそれをもとに決断できるよう気をつける必要があります。

4. 環境に与える影響をモニターするために、遺伝子組換え生物の使用に関する長期的な研究が必要な場合もあるでしょう。このために、農家と種子会社の協力が必要です。

5. 遺伝子組換え生物が健康に与える影響の長期的観察は、人々が非常に多くの種類の食べ物を摂取しているため、とても難しいでしょう。多くの食品は、遺伝子組換え生物をを含むか否かにかかわらず、健康に対する一定のリスクを持っていることが、すでに知られています。例えば、従来から食しているグリルした魚や肉、飲み物、ソースには発ガン性物質が含まれている事がすでに分かっていますが、これらの商品はテストされていません。また、食品の安全性は、ケース・バイ・ケースで決断は下されるべきで、 Codex Alimentariusなどの国際規定は、良い参考になるでしょう。

6. 遺伝子組換え食品に限らず、食品に含まれているかもしれないアレルゲンの科学的な評価を慎重に行う必要があります。アレルギー患者を考慮して、表示にも注意が必要な場合があります。食品の安全は、「他を傷つけない」という倫理理論から発生した、倫理的な関心事です。

7. 遺伝子組換え食品やDNA組換え技術によって作られた食品に関する、農林水産省の表示の規制方針を、透明性を高めるための第1歩として、歓迎します。この方針に関するコメントをいくつか挙げたいと思います。

8. 私達消費者は、個別のスーパーマーケットが特定の商品を非売にしたとしても、市場選択を行うという意味で、すぺての商品にアクセスできるべきです。理想を言うならば、すでに有機栽培商品で行われているように、通常商品と並べて販売し、消費者の自由選択を受けられるようにすると良いでしょう。

9.一部の食品の特別の取り扱い方は、有機農業などにおいて先例があります。しかし、他の特別な農作物、食品と同様に、コストの増加は回避できません。商品の遺伝子組換えと、非組換えの分別にかかるコストは、その商品を選択する消費者によって、まかなわれるべきです。

10. 分別された食料品を確保したい人は,その分別のためにかかる過剰コストを支払うべきであり、消費者全体に反映されるべきではありません。しかし、安全点検システムは食品業界や政府によってサポートされるべきです。

11. 遺伝子組換え生物を含まないという表示の確かさを証明する事が一番難しく、不当な表示に対する罰則が取り決められるべきだと思います。この罰則がどのように課されていくか明瞭にすることを求めます。例えば、JAS規格にのっとった検定がなされるのか,等です。厳密なIPハンドリングと大量IPハンドリングにおける混入のレベルは明確にされるべきであり、消費者がそれを知る手立てなども明らかにされるべきです。この混入が許可される限度量は、国際規定に順ずるように設定されるべきです。

12. 人々のリスクに対する認知度には個人差があり、科学的根拠に基づいていないことが多いです。しかし、重要なリスクを回避する事は基本的な人権だと思います。重要なリスクであるかどうかの比較方法としては,現在人々が消費する既存の食品と比べてみる事です。今回の方針では、表示を必要とするものとしないものを設ける事によって,論理的な区別を行っているように思われます。しかし、区別されたものもされていないものも,食品の摂取量と遺伝子組換え生物の含有量の科学的な測定に基ずいて、そのように表示されるべきです。遺伝子組換え食品の長期的摂取、アレルギー反応なども継続的に試験されるべきであり、その安全性を追及する研究が続けられるべきです。

13. 知識を多く持つ事が安心につながる、と一概には言えませんが、情報化社会に住む現在、人々が望む情報にいつでもアクセスできるようにすることが必要です。現実的なシステムが導入されるべきであり、この方法に関して以下のことを提案します。すべての商品に関する、信頼のおける分かりやすい情報がインターネット上で公開されるべきであり、その情報提供者は、企業や消費者を含んだ、独立の諮問機関か、望ましくは農水省や厚生省が企業や消費者の協力を得て行うべきです。これを行う事で,相反する情報がもたらす混乱を避け,消費者の信頼を回復する事ができると思われます。遺伝子組換え生物に関する情報は、プラス面からだけでなく、マイナス面や危険性についても提供されるべきだと思います。

14. 日本は輸入商品に依存しており、国産品や輸入商品に関する、様々な健康問題が挙げられています。幅広い科学的な情報が分かりやすく提供されるべきであり、遺伝子組換え食品に限るべきではありません。一部の企業や消費者団体だけでなく、政府ももっと声を上げて活動を進め一般の人々の声に積極的に耳を傾けるべきでしょう。英国の独立して存在する食品審議会から学べる事があるかもしれません。

15. 予定外の事件や事故に備えて、リスクを回避し、正確に責任を割り当てたシステムを作り上げる必要があります。こういった出来事は、作物を育てる過程でもおこり得る事から、種や苗においても表示を行い、農家が情報を得られるようにするべきです。

16. この問題に関しての情報や知識を持っている人々は、他の人々にその情報を提供する責任があると思います。遺伝子組換え生物に関する問題を学校教育で取り上げるだけでなく、一般市民に対する情報提供をより積極的に行うべきです。消費者の中には一部のニュースに影響を受け得やすい人や、関心の低い人もいますので、多くの人に正しく理解してもらえる情報を常に提供することが重要と考えます。製造と消費システムの間で、監視体制が整備されるべきです。

 結論として,新しい技術は,きちんとリスクと利点のバランスをとって評価すべきであり、新しい技術の利用に対する選択肢が農家や消費者に提示されるべきだと思います。

生活とバイオを考える会 1999年11月

江藤 隆司 輸入業者

稲垣かずみ フリー翻訳家

大津昭浩 ジャーナリスト

大岩 ゆり 政治ジャーナリスト

大谷 いづみ 高校倫理教師

加藤牧菜  筑波大学院生

北原 文代 会社員

白石直樹 高校生物教師

高橋真理子 科学ジャーナリスト

館沢 佑 会社員

津坂 一美 会社員

林 聡子 筑波大学院生

前川 史 ユウバイオス倫理研究会

ダリル・メイサー ユウバイオス倫理研究会

 

Enquiries to: ダリル メイサー

電話: 0298-53-4662

ファクシミリ: 0298-53-6614

Enquiries to:Darryl Macer, Eubios Ethics Institute, Japan Email:
asianbioethics@yahoo.co.nz


On the Eubios Ethics Institute (English)

Statement on GMO Labeling Policy in Japan (English)

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