「学校における生命倫理教育ネットワーク」第17回勉強会報告

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ダリル メイサー(責任者、筑波大学 助教授)
〒305 つくば市 筑波大学 生物科学系
生命倫理に関する教育研究グループ
ファックス番号:0298-53-6614


−小学校校歌歌詞に歌われた価値観の時代別・地域別比較に関する研究をテーマに−

<とき・ところ>
2000年1月15日午後3時〜6時
東京都立日本橋高等学校にて

<参加者>
社会科
井上兼生先生(埼玉県立大宮中央高校)
大谷いずみ先生(上越教育大学)
小泉博明先生(東京都麹町学園女子高校)
田中裕己先生(名古屋大学教育学部付属高校)
山下亨先生(東京都立東村山高校)

生物科
白石直樹先生(東京都立足立新田高校)

ゲストスピーカー
黒田彰一さん(立命館大学国際関係研究科)

木塚真弓(筑波大学第2学群生物学類)
石川水樹(筑波大学第2学群生物学類)
近岡三喜子(筑波大学第2学群生物学類)

勉強会の流れ

オリエンテーション、アイスブレーキング
(15:00〜15:20)

 まず、第17回の勉強会のテーマを説明し、ゲストスピーカーとして勉強会に参加してくださった黒田彰一さんに発表していただくこと、その後全体で1つのグループとして話し合いをすることなど、大まかな流れをお知らせしました。
また、木塚さんから、今回メイサーは大学で大学入試センター試験の事務的仕事があり出席できないこと、そして木塚さん自身、就職の為今回が最後の出席になることを説明した後、今回はじめて参加いたしてくださった黒田彰一さんから自己紹介がありました。また、同じく今回はじめて参加した生命倫理研究室に所属する石川水樹さんもおりましたので、あらためて参加者全員で名前等を述べる簡単な自己紹介をしました。

黒田彰一さんの報告
小学校校歌歌詞に歌われた価値観の時代別地域別比較に関する研究
(15:20〜16:20)

黒田さんは、立命館大学大学院 国際関係研究科に所属されており、今回の勉強会では黒田さんが大学の修士学位請求論文で取り扱った研究内容をご紹介してくださいました。黒田さんは去年(99年)TRT5(ツクバ ラウンド テーブル)に参加してくださり、同様の論文をご報告してくださいました。
黒田さんは小学校の校歌歌詞に謳われている自然観・人間観・平和観・を抽出し、その特徴が、それぞれの時代及び地域の自然的・社会的条件とどうのような関連性を持つかを明らかにすること研究されました。したがって、黒田さんが行われた研究は校歌に関する従来の研究に見られる分析の内容及び方法と違って、歌詞表現を、歴史・文化・社会・思想・徳目などの内容に仕分けして、これらと教育目標との関連性を調べたり、師弟・仲間などとの関係をも見ようとするものだそうです。 黒田さんは従来の研究が行ってきた語彙別の単純集計に加えて、着目する2つ以上の項目についてのクロス集計を行うため数量的な分析の面ではコンピュータを用いた分析を行ったそうです。また、郵送および直接訪問などによって2,526校の歌詞を収録されたそうですが、今回分析の対象としたのは253校だそうです。
地域別では、1.都市開発地域、2.産業開発地域、3.原爆被災地域、4.港湾地域の4つに分け、それぞれの地域から、1.横浜市 2.四日市市 3.広島市と長崎市 4.神戸市と横須賀市を選択されました。
時代別では、校歌歌詞と社会の変容の関連性を把握する為、第二時世界大戦終結以前、以後に大別し、戦後については、1945年から10年毎に区分されたそうです。また港湾地域で横須賀市を選択したのは、先生が海外文化の輸入の接点の影響を意識した為だそうです。
校歌歌詞クロス集計表における国内の地域別の結果を見ると、やはり全体的には「徳目」「未来」のいずれかの表現が多いそうです。しかし、地域別ごとにみてみると、徳目表現は横浜市と長崎市に多く、未来表現には横浜市と広島市に多く見られるといった相違が見られたそうです。くわしくは、黒田さんが参加者全員にお配りしたクロス集計表に載せられていました。
そのなかで長崎市における校歌歌詞クロス集計表によると戦前では儒教、軍人、忠義、恩の思想という色合いが強い歌詞が多く、戦後では仲間・友情関係、協調的意味を持つ歌詞が多くなったことが理解でき印象的でした。
また、長崎市の57校の校歌歌詞全体を通じてみた価値観では、文化、平和意識、反映意識、歴史、自立・自主などの項目が多く見られることを説明してくださいました。これは広島市でも同様に見られるそうです。
黒田さんの報告から、校歌の歌詞は明らかに、その時代の背景、価値観、意識、また地域の特色を反映していることが分かり、興味深いものでした。
最後に黒田さんは、学校教育の場で日本に必ず存在する校歌を活用するてはないかとお考えでした。また日本では少子化に伴い学校を1つに統合する際、古い校歌を守りたいという論争が起きているそうです。それだけ校歌に対する意識が強い日本で校歌を歌うことで、道徳、自然の大切さを意識できるのではないかとおっしゃっていました。これは、環境倫理にもつながることであると述べておりました。

全体での討論
(16:20〜17:45)

まず、黒田さんの報告をもとに全体で1つのグループになり、質問や意見を出し合いそれをもとに話し合いを行いました。最初にどのような手段で校歌を集めたのかという質問が出されました。それに対して、各教育委員会に手紙やFAXを送り、是非ともほしいところは自らでむき校歌についての資料を得たとお答えされました。
各学校の校歌を冊子にしている市もあるとのことです。
校歌歌詞クロス集計表について長崎市はどうして女性主体の文節項目が多く見られるのかという質問が出されました。それに対して、女性は平和主義の象徴だからではないかとお答えくださいました。
 また、山間部の学校と海沿いの学校でも校歌に違いが見られるのではないか、また都心部の学校と地方の学校でも校歌に違いが見られるのではないかなどの意見も出されました。討論では全体的に校歌そのものについて行われ、現在の子供は校歌をあまり歌わないことなど現実的な問題からどのように環境倫理に結びつけるか、議論が及びました。

事務的連絡
(17:45〜18:00)
次回の勉強会について、また冊子「日本における高校での生命倫理教育」作成についての事務的連絡を行いました。
To Bioethics Education Network (Japanese)
To Bioethics Education Textbook Project
To Eubios Ethics Institute